オギロックフェス

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21歳、スプーン1杯分の幸せをイエモンと。〈ツアー感想〉

9999にファンの1杯を加えて

9999

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2019年4月、THE YELLOW MONKEYが19年ぶりのアルバム「9999」をリリースした。そして、伝説の年間113本を完走した「PUNCH DRUNKARD TOUR 1998/99」以来、実に20年ぶりとなるアルバム全国ツアー「GRATEFUL SPOONFUL」がスタートした。

 

今回のツアーは日替わりで4種類のセットリスト♢♡♧♤が用意されており、会場ごと日ごとで違うメニューが楽しめるライブとなっている。前編では、2019年6月12日横浜アリーナ♡公演と2019年7月6日さいたまスーパーアリーナ♢公演を振り返る。

 

6月12日横浜アリーナ♡公演

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幸いなことに今ツアーは♢♡♧♤全公演行けるのだが、参戦初日となったのが6月12日横浜アリーナ♡公演であった。

解散前のツアーでも横アリは何度かやっていて、イエモン的には聖地に凱旋したような感覚だったろうか。

会場内には「ボナペティ」と愉快に歌われる未発曲が流れ気持ちがたかぶる中、いよいよライブの幕が開いた。一曲目から「天道虫」、続く「Alright」でオーディエンスのボルテージはいきなり最高潮。♡公演ということで「Love Communicatoin」「Love Homme」「Love Sauce」といった“Love”づくしのメニューで客を楽しませた。

アルバム「9999」の曲もライブで乗りやすい曲が多く「Balloon Balloon」「Titta Titta」はライブを見て好きになった人もいるはずだ。

「楽園」ではツアータイトル「GRATEFUL SPOONFUL」の由来にもなった《スプーン一杯分の幸せを わかちあおう》というフレーズが、「パール」ではド平日に集まったファンに向けた《負けるなよ》というフレーズが、いつも以上に輝いて聴こえた。

盛り上がる曲が多い中、ライブ中盤で演奏された「SO YOUNG」は♡公演の肝であったように感じた。

後半戦、横アリ初解禁の「追憶のマーメイド」、客席まで降りて演奏した「LOVE LOVE SHOW」、50代とは思えない色気を纏った「SUCK OF LIFE」と梅雨の横アリでロックンロールなステージが繰り広げられた。

本編ラストは「I don't know」。マーシャルのベースアンプから出るヒーセさんの重低音は体の芯まで響く迫力であった。

アンコールでは、大合唱の「バラ色の日々」「悲しきASIAN BOY」ともはやライブには欠かせないナンバーが横アリのファンとイエモンに一体感をもたらした。

ラストナンバーは「この恋のかけら」。アルバムでは一曲目であるが、《残された時間は長くはないぜ》という歌詞的にラストに聴くのもなかなかありな気がした。

最後にまたまた「ボナペティ」が流れ、ライブは幕を閉じた。

横浜アリーナ♡公演は、吉井さんも曜日を間違えるほどテンションの高く一体感のあるライブであった。

 

7月6日さいたまスーパーアリーナ♢公演

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参戦2日目となったのは、7月6日さいたまスーパーアリーナ♢公演であった。当初行く予定はなかったが、公演1週間前に急遽制作席開放発売でチケットを購入した。

この日はバンドの解散日である7月7日の前日ということで、メンバー的には特別な想いがあったようだ。

会場内にあの「ボナペティ」が流れたのち、エマさんのギターからライブはスタートした。一曲目は「この恋のかけら」とアルバム「9999」と同じ始まりであった。イエモンのアルバムの一曲目は、なにか物語が始まるドキドキ感がある曲が多くライブの始まりにもピッタリだ。続く「ロザーナ」「熱帯夜」とこちらもライブ映えするナンバーで会場はヒートアップしていった。

♢公演は比較的ドロッと重く攻めたナンバーが多かった。序盤から「砂の塔」「聖なる海とサンシャイン」といったで大人の世界観を感じさせ、「Breaking The Hide」ではキレッキレのサウンドでさいたまを虜にした。

そしてこの♢公演最大の見せ場が「天国旅行」であった。メンバーを映すモニターが消え、アリーナという大きな会場にも関わらず照明と演奏のみのステージは圧巻であった。吉井さんが長髪だったこともあり、映像作品で見た97年ごろの姿に見えた瞬間があった。

「Changes Far Away」で会場を温かい雰囲気にした後、「JAM」が始まった。平成時代を象徴するロックアンセムであるこの曲は、なにかと理不尽なことが多い令和の時代にも強いメッセージを放っていた。

「SPARK」では吉井さんが花道から客席方へ降りていき、アリーナでありながらライブハウス並みの近さで盛り上げていき、後半戦がスタートした。「Love Homme」ではグルービーかつブルージーサウンドで会場をノリノリにし、続く「天道虫」「バラ色の日々」「悲しきASIAN BOY」でボルテージを高めたまま本編は終了した。

アンコールでは「Titta Titta」「太陽が燃えている」といった明るいナンバーで再び会場を楽しませ、「SUCK OF LIFE」ではオーディエンスの期待に応えるかのように吉井さんとエマさんが絡み合い、皆がステージにくぎ付けであった。

ラストナンバーはアルバム「9999」と同様に「I don't know」で幕を閉じた。

この日は吉井さんも恐ろしいほど声が出ていたし、ヒーセさんのベースの音も横アリの時よりも綺麗に出ていた気がした。

イエモンさいたまスーパーアリーナでやるのは、再結成ツアー以来3年ぶり2度目であったが、すっかりものにしていた感じであった。

 

ツアー前半2公演を終えて...

♢公演と♡公演は2日間で1セットのような内容で、前者はイエモンの世界観とロックショーを体験する、後者はイエモンと一緒にロックコンサートを楽しむといったメニューであった。また、今までのツアーとは違いバックに流れる映像の演出にもこだわりが見られた。

 

再結成してから初めてとなるアルバムツアーは、アルバム「9999」の新曲を聴かせるだけでなく、♢公演と♡公演で既発曲をかぶらせないという、ファンにとっては2度美味しく、メンバー的にはチャレンジングなツアーになると思う。