オギロックフェス

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flumpoolと空白の1年を埋める旅へ。

2008年にメジャーデビューした4人組バンド「flumpool」。2018年、メンバーもファンも待ち望んでいたデビュー10年記念イヤーは空白のまま過ぎてしまった。

 

Re:imageから活動休止へ

遡ること2年前、2017年。「Re:image」というタイトルのもと、彼らは5月に行われた日本武道館を皮切りに、9月から12月までの全国ホールツアー、年末のカウントダウンライブと10周年に向けて精力的な活動を行う予定であった。しかし、ボーカル山村さんの喉の不調(後に歌唱時機能性発声障害であることが発覚)により、ホールツアーの一部とカウントダウンライブを中止、当面の活動休止という選択を余儀なくされた。

 

偶然にも活動休止発表直前の2017年12月2日に行われた、「Re:image」ツアーパシフィコ横浜初日公演に参戦していたため、この活動休止発表には驚きを隠せなかったのと同時にとうとう限界かとも思ってしまった。

12月2日のパシフィコ横浜公演は、正直なところあまりライブを楽しむことが出来なかった。一曲目の「World Beats」はボーカルエフェクトをかけた曲であるためそこまで気にはならなかった。しかし二曲目の「星に願いを」からは高音が出ていなかったり、声がかすれていたりとあの会場にいた誰もが山村さんの声の心配をしていただろう。本編ラストでは新曲「とうとい」という温かい楽曲を演奏したが、まともに聴くことが出来なかった。

 

そして、12月6日の夕方に当面の活動休止が正式に発表された。山村さんの喉の状態を受けての当面活動休止ということで、具体的な活動再開の目処が分からず、1ファンとして非常に落胆した。それは他のファンも恐らくはメンバーも同じであっただろう。せっかく「Re:image」という志で1年活動してきたのに、逆にイメージはマイナスになってしまったのだ。

また、皆が心底楽しみにしていたデビュー10周年の記念イヤーも無くなってしまったのは非常に悔やまれた。

 

空白の1年間を埋める旅へ

あの出来事から約1年が経ち、2019年1月13日。flumpoolの結成日であるこの日、大阪の特設野外ステージに彼らは戻ってきた。たった二曲のフリーライブではあったが、山村さんは声を取り戻したのだ。この日を境にflumpoolの活動再開が正式に発表され、FC限定イベントと全国ホールツアー「⌘⇧Z 」の開催も決まった。

活動再開はもちろん嬉しかったのだが、たった1年で治るものなのかと半信半疑であった。ただ活動休止直前のライブに行ってた者としては絶対に活動再開のツアーも行きたいという思いはあった。

 

「Re:image」ツアーで公演中心となった会場を皮切りに、空白の1年をファンと一緒にを埋めるかのような意味を持つ今回の全国ツアー。チケットは予想以上に倍率が高く取るのが困難であったが、ギリギリで2019年5月22日「⌘⇧Z」ツアー東京国際フォーラム公演のチケットを買うことができた。

関東公演初日かつ今ツアー最大キャパの当会場は平日にも関わらずflumpoolの復活を見届けようと超満員のファンが集まった。

開演まで楽しみな気持ちよりも不安な気持ちの方が大きかったが、一曲目「FREE YOUR MIND」の第一声がその不安を吹っ飛ばしてしまった。山村さんの声は完治のレベルを越えさらに進化していた。声量も声の通りも障害を患っていたとは思えないほど変わっていた。1年でここまで変わるものなのかという驚きでライブは幕を開けた。

「HELP」をはじめとする新曲や「しおり」「東京哀歌」「今年の桜」といった過去のアルバム曲まで幅広いメニューであったが、2年前のような余計な心配は全くなく、しっかりとflumpoolの音楽を聴くことができた。

困難を乗り越えて戻ってきたflumpoolのこのツアーは、空白の1年間を埋めるほどの充実感が確かにあった。久々に最高なflumpoolを見ることができたのであった。

 

「HELP」の先にある未来

近年、山村さん以外にも喉の不調を理由に、ライブの中止中断、休養をするボーカリストの方を多く見かける。喉は生身のものであるから、一度失うと取り戻すのは困難である。そのためリタイアや現場を離れる選択をする人もいる。

しかしいくらプロとはいえ、たった1年で元以上の状態に仕上げた山村さんの努力には本当に頭が上がらない。シングル「HELP」の特典DVDにその様子が収録されていたが、大した努力もしたことないのにただ半信半疑で待っていた自分が恥ずかしくなった。山村さんのこういう諦めない姿勢が多くのファンに支持され、新曲「HELP」にも強く反映されていると思う。

これまで波乱な状況をいくつも乗り越えてきたflumpool。また何かが起きても彼らはずっと4人のまま活動すると勝手に信じている。「HELP」その想いを全国に届けた後、どんな未来を見据えているのか、彼らの次のビジョンに期待したい。

 

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